通説以上、陰謀論未満

他のブログと異なる点:論文や学術本を根拠に示しているため、より信頼度の高い情報を提供いたします。

良い天下りもある

悪名高い天下りだが、3つのメリットもある(あった)。

「真実は難しい」というブログで、物事を多面的に分析する重要性を述べた。

happa-shuzo.hatenablog.com

今回は、悪い面ばかり語られる天下りの、良い面に注目する。

 

①お金で優秀な人が釣れる

天下りがあると、「昇進後に退職すると、天下り先の民間企業で高級取りになれる」という金銭的なメリットが生まれるため、優秀な人を高い生涯年収で釣ることができた。昔は、出世争いが激しくなかったため、昇進する前に途中離脱してしまう人が少ない分、このメリットが大きかった。

 

②新陳代謝が進む

天下りがあると、定期的にベテランが民間企業に流れるため、省庁内で新陳代謝が進む。流動性が高い故に、健全な組織となる。

 

③企業と官庁が調整しやすくなる

1950年代、キャリア官僚の処遇が問題視され、そのはけ口として天下りが進んだ。その天下り集団は、後に、企業と官庁がスムーズに調整できるようになったという*1

加えて、企業に新たな視点が提供される。すなわち、日本全体を俯瞰できる官僚が企業に天下りすると、企業は、企業内部の視点以外の全体像を官僚から教わることができる

 

*1:村松岐夫伊藤光利、辻中豊(1986年)『戦後日本の圧力団体』、東洋経済新報社、p. 193