通説以上、陰謀論未満

他のブログと異なる点:論文や学術本を根拠に示しているため、より信頼度の高い情報を提供いたします。

ふるさと納税はなぜ学者から嫌われているのか?

ふるさと納税ほど経済学者から嫌われている制度は無い。特定のグループから批判されたインボイス制度と異なり、おしなべて批判的な意見が多い。

本記事では、ふるさと納税の欠陥を、論文と共に紹介する。

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「ジョブ型=理想」は危険? ジョブ型に対する3つの誤解

経団連第5代会長の中西宏明氏が「日本の雇用慣行を見直すべき」と提言してから、ジョブ型雇用の波が再び始まった*1。それと同時に、ジョブ型に対する過大な幻想も広まっている。本記事では、ジョブ型に対する3つの誤解と、あまり注目されていないメリットを解説する。

*1:山田久(2020年)「第1回 なぜ今ジョブ型雇用か 過去にもブームあったが定着せず」日経BP、HumanCapial Online、https://project.nikkeibp.co.jp/HumanCapital/atcl/column/00002/100200001/

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「坂本龍馬」という、ほぼ架空の人物について

日本人の「坂本龍馬像」は、ほとんど事実に基づかないといっていいだろう。これは私個人の意見では無く、多くの学者が指摘していることだ。「薩摩と長州の間に立って同盟を結ばせた」「大政奉還を成功させた」「船中八策を書いた」「亀山社中という名前の組織を作った」「子供の頃はか弱い少年だった」.....こうしたエピソードは否定されている。否定されているエピソード→誤解の原因となった小説→本当の功績、の順で解説する。

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数々の論文「MBTI診断は デタラメ」

「MBTI診断」という性格検査が、10年前アメリカで流行り、今は韓国と日本で流行っている。しかし、多くの論文によってMBTI診断がデタラメだということが示されている

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【イスラエル・パレスチナの紛争】を学びたい人のための、おすすめコンテンツ4選

2023年10月7日現在、パレスチナ自治区ガザを実効支配するイスラム組織ハマスが、イスラエルに向けて多数のロケット弾を発射した。イスラエルのネタニヤフ首相は「われわれは戦争状態にある」と声明を出した。

これを機に、イスラエルパレスチナの紛争について学びたい、という人のためのコンテンツを4つ紹介する。加えて、こうしたコンテンツを探す際の注意点も述べる。

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一院制は危ない

日本政治は、衆議院参議院を両方有する「二院制」の形をとっている。しかし戦後には、「参議院は、衆議院と同じことしてるから要らないじゃん」という批判があった。さらに、2007年以降に衆参で多数派が異なる「ねじれ国会」が常態化し、「参議院が強すぎて、政治が全然動かないじゃんか。政治をすぐ動かせるように、一院制にしようよ」と、二院制が批判されてきた*1

それでは、二院制を廃止して一院制を導入すべきだろうか。いや、導入すべきではない。一院制を導入することで、悪い政策がすぐ決定されてしまうリスクがあるからだ。

*1:加藤創太(2021年)「日本における二院制はどうあるべきか――「カーボンコピー」論と「強すぎる参議院」論を超えて/[第1部]世界の中で見た日本の二院制」、東京財団政策研究所、https://www.tkfd.or.jp/research/detail.php?id=3726#h1

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本屋で 歴史本を買うことが、危険な理由

「歴史好き」の人が、歴史学者と話が合わない、というのはよく聞く話だ。なぜなら、「歴史好き」はつまらない事実より面白いストーリーを優先するのに対し、歴史学者は面白いストーリーよりつまらない事実を優先する傾向にあるからだ。

本記事は、小説家による歴史本と、根拠が数多くチェックされる学問としての歴史学を対比することで、本屋で歴史本を買うことのリスクを提示する。

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